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日本心エコー図学会
第33回学術集会

ごあいさつ

会長 山本 一博

このたび、日本心エコー図学会第33回学術集会を2022年4月8日(金)~10日(日)の3日間、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターにおいて開催することとなりました。
私が医師になったころは、心エコー装置にキャスターは付いているものの、これは工場から病院に出荷する際と病院の年末の大掃除の際に使用するためだけのもので、「基盤が痛む」という理由で極力装置を動かさないようにしなければならなかったものです。つまり、CTやMRIと同じように、原則は超音波検査室に患者さんが移動しなければならない検査で、当時は検査を実施する機会は大きく制限されていました。しかし、心エコー装置のportabilityが著明に改善され、いろいろな場面で心エコー図検査を簡便に実施できるようになりました。そのおかげで事実が明らかとなり、病態の認知が確立したもののひとつにHFpEF(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction)があります。かつては、急性心不全で緊急入院してきた患者さんには、利尿薬や血管拡張薬を用いた急性期の血行動態改善目的の治療を行い、そのあと患者さんが検査室に移動可能となってから心エコー図検査を実施していました。そこで左室駆出率(LVEF)が正常の場合は、「急性期には過度の血圧上昇でafterload mismatchが起きて一時的にLVEFが低下して心不全になっていた」という都市伝説を患者さんの病態に当てはめて、皆が納得していました。しかし、救急の現場に心エコー装置を運んでチェックするようになると、急性期にもLVEFは低下していない患者さんが多いという「事実」がわかり、この都市伝説は否定され、これがHFpEFに対する研究を促進し、今もなお「真実」に迫るための研究が多く行われています。
このように、探触子を患者さんに当てると、われわれの眼では知ることができない事実が提示されます。ただし、事実の羅列にとどまると、病態の理解までたどり着くことはできません。皆さまは、日々の一例一例の心エコー図検査においても、弁、心房や心室の形態や機能などの異常を示す「事実」をもとに、これらの異常を来たす機序まで考えることで各患者さんの「病態」、つまり「真実」を探っておられることと思います。その結果、患者さんごとに適切な治療選択肢を提示することが可能となっているはずです。
やまびこ(エコー)は、発せられた音(事実)のみを反響して送り返してきます。そこに解釈は入っていません。こだまする音から何を考えるか-これは聞くひとそれぞれに委ねられます。この学術集会では、「エコーは事実を伝え、我々は真実を探る:Echo represents facts, we seek truths.」をテーマとし、心エコーから得られる事実をいかに解釈し、患者さんの診断や治療へのアプローチ法を見出すかなど、皆さまの日々の診療・研究に役立てていただける情報発信の場となるような学術集会にできればと考えております。
現在のSARS-CoV-2感染症の広がりが1年後にどこまで収束しているか、今の段階で予想することはできませんが、開催形態については参加者の安全第一を原則とし、状況をみながら考えてまいります。集合形式での開催が可能となった場合は、地方都市開催の強みを活かし、SARS-CoV-2感染症への対策と活発な議論を目的として、ポスター発表形式は止め、一般演題はすべて口述発表にしたいと思っております。是非とも多数の皆さまにご参加いただきますよう、お願い申し上げます。

日本心エコー図学会第33回学術集会
会 長  山本 一博
(鳥取大学医学部循環器・内分泌代謝内科教授)